神経過食症とただの食べ過ぎ飲みすぎとは明らかな違いがあります。

今回は神経過食症の定義や、なぜ神経過食症になってしまうのか、その辺りをご説明したいと思います。

肥満恐怖から神経性過食症になっていく

私たちは、産まれてすぐは快・不快しかありません。

5歳ぐらいになると、安心できる存在の母親などに「いや」と自分の意志を伝えられるようになります。

そして子供時代6歳~12歳頃には、自分という感覚を持ち、気持ちのコントロールをとれるようになっていきます。

12歳から25歳ぐらいに、自分の内面に向き合うようになり、人とは違う自分に気が付きます。

この頃に自分のアイディンティティーを確立させていきます。そのような過程を得て、自尊感情というものを得ていきます。

自尊感情とは、自分自身に価値があるという感情の事です。それは自分にとって重要な人から大切にされることではぐくまれていきます。

自尊感情が低いと、自信が持てず、不安、落ち込みやすく、人からの評価に左右されやすい人になります。

親、教師、友人などの評価が気になる。自分の軸が他人にあり、他人のために生きる人となってしまうのです。

思春期になると、外見的な美しさにこだわり、ボディーイメージに左右されやすくなっていきます。自分は人から、どう思われているのか、気になるのです。

ひとつの仮説として、なんらかの原因で自尊感情が育ちにくい環境で育った人は、人からの評価に敏感で、物事を否定的に捉える傾向が強くなります。

いじめや、対人関係など、こころに傷を負う経験があると更に加速していくと言われています。

痩せることで低い自己評価を埋めることに没頭して、痩せへの追求が始まります。痩せることができる自分を、高く評価する事で満足を得ます。

そうなると、食生活の問題が起こります。

これは太るから食べない。こんなに食べると太る。という基準ができてきます。

そして、もっともっとと、更に加速していくのです。

またボディーイメージに関しては

認知:身体についての考えや信念         
知覚:自分の身体をどのように知覚するか
感情:身体に関する感情
行動:身体のチェック、痩せるための行動 

ボディーイメージに影響を与える因子として、自尊感情が低い、肥満傾向である、ソーシャルメディアの影響、母親が厳しい、不安(パニック障害、社交不安)症を持っていて、抑うつ傾向である、などとされています。

神経性過食症の定義

Bulimia Nervosaの診断基準(DSM-5)

A. 反復する過食のエピソード、過食のエピソードは以下の両方に特徴付けられる。
1)他と区別される時間に大量の食物を摂取する
2)食べることを制御できないという感じを伴う
B. 体重増加を防ぐ為の代償行為
 例えば自己誘発性嘔吐、緩下剤、利尿薬、その他の医薬品の乱用、絶食、過剰な運動。
C. 過食と不適切な代償行為がともに平均して3か月にわたって少なくとも週に1回は起っている。
D. 自己評価が体型および体重の影響を過度に受けている。

簡単に言うと、単なる食べすぎというより、家族が見ていない夜遅くなどに、過食してしまい、罪悪感を持っている。罪悪感のために、代償行為をしている。過食は、コントロールが効かなく、3か月以上、週に1回の頻度で起きているという事です。

後編では、神経性過食症に伴う摂食障害についてご説明いたします。

ボイスカウンセラー
片桐 かおり(かたぎり かおり)

まとめ

あなたの暴飲暴食は神経性過食症ではありませんか?(前編)
肥満恐怖から神経性過食症になっていく
神経性過食症  Bulimia Nervosaの診断基準(DSM-5)