中学受験では、模試のために勉強をやってもやっても偏差値上がらないという現象が起きることがあります。それは「なぜ」なのでしょうか。

中央値が上がっている

その理由は、「中央値」が上がっているからです。中央値は平均と考えていただくとわかりやすいと思います。

全体の中央値(平均値)が上がっているから、勉強をやってもやっても偏差値が上がらないという現象が起きます。

これは、みんなが勉強をしているので勉強をやってもやっても偏差値が上がらないという事態が発生しているわけですので、決してお子様が勉強を怠けている結果というわけではありません。

ここで気を付けなければならない点は、「勉強量を増やせば良い。」と、いう安易な考えを持ってしまうことです。

中学受験の難易度は高く、勉強量も相当なものです。

安易に勉強量を増やしてしまうと、「うつ病」になってしまったり、「燃え尽き症候群」に陥る可能性があります。

中学受験は膨大な量を学習しなければならないので、大切なポイントは「なるべく毎日コツコツ」とこなしていくという点です。

偏差値そのものが上がっている

勉強をやってもやっても偏差値が上がらない理由として、次に考えられることは「偏差値自体が上がっている」ということです。

10年前、20年前、30年前と比較すると、同じ偏差値50でも、問題の難易度も正答率も現代の中学受験とは違います。

さらに、中学受験では偏差値が低くでやすいという点があげられます。

高校を受験された親御さんは多いと思いますので、わかりやすく高校受験の偏差値に換算すると、中学受験の偏差値50は、高校受験の偏差値65にあたります。

これは、高校受験では母数が塾に通っている子たちも通っていない子たちも含まれるためです。

ですが、中学受験の偏差値は母数が塾に通っている子たちになりますので、どうしても中央値が上がってしまうのです。

ですので、一般的に中学受験の偏差値はプラス10~15で計算するのが目安といわれています。

さらに、今年(2020年)はコロナで学校自体が休校だったため、家庭学習の時間が増え、学力が伸びたお子様も多く存在します。

ですので、偏差値自体さらにプラス5あがっていると考えた方が良いかもしれません。

2020年、2021年(現5,6年生)で言えば、プラス15~20を目安とし、計算してみてください。

例え、偏差値50だとしても、実際には偏差値65~70の能力があります。

そう考えると、お子様がどれだけ努力をしているのかイメージが付きやすいのではないでしょうか。

やってもやっても偏差値が上がらないという悩みを抱えやすいとは思いますが、「偏差値が落ちていない」ということ自体が、実はスゴイことなのです。

中学受験に焦りは禁物

やってもやっても偏差値が上がらないと、親御さんは焦りを覚えます。受験までに残された時間、そして偏差値のひらきをみると、焦るのは当然のことです。

そして、そのような親の焦りとは裏腹にまったく焦らないのが子供たちです。

そんな様子を見ていると、発破(はっぱ)をかけたくなる親御さんのお気持ちはよくわかりますが、あまり言い過ぎないように注意してください。

特に男の子はギリギリまでエンジンがかからないものです。塾では同じ単元を何度も復習してくれます。

最終的に、受験までに覚えれば良いわけですから、そこに帳尻を合わせましょう。

女の子の場合は、褒めることが有効ですし、プライドがあるので「負けたくない」という気持ちから、勉強をする子も多いのですが、男の子の場合は・・・。

男の子はマイペースな子が多く、ギリギリまで自分の置かれている状況を把握しません。

早い段階で把握したとしても、一晩寝れば忘れてしまいます。

大半の男の子を持つ親御さんは、「受験は無理かも・・・」、「受験はあきらめようかな・・・」と、内心では迷ってらっしゃいます。

ですが、男の子の場合、一度スイッチが入ればそこからの伸びは大きいです。

6年生、特に6年後期になれば、周りにつられスイッチが入るお子様も多いので、偏差値が下がっていないのなら焦らずに見守ることも大切です。

ボイスカウンセラー
齋藤 唯衣(さいとう ゆい)

まとめ

中学受験 勉強しても偏差値が上がらないからくり
中央値が上がっている
偏差値そのものが上がっている
中学受験に焦りは禁物