職場で仕事をする上で上司や同僚など、多くの人と関わりを持つことは避けて通ることの出来ないものです。

しかし、その人間関係を持つことを苦手としている人が多くいることも事実です。

それが原因となり、出社することさえ、苦痛に感じてしまったり、強いストレスを覚えてしまうこともあるでしょう。

中にはうつ病などの精神疾患を患ってしまったり、体調を崩してしまうこともあります。

あるいは、仕事での良好な人間関係を築くことが出来ないため、仕事が長続きせず、職を転々としている人も少なくないことでしょう。

ここではそうした仕事での人間関係を持つことを苦手とする人の傾向とその対処法について話して行きたいと思います。

1. まず初めに仕事での人間関係が上手く築けず、苦手と感じてしまう人の気質や性格の傾向をそれぞれに分けて見て行き、どうやってそれらを克服していけば良いのかについて考えてみましょう。

コミュニケーションを取ることが苦手なタイプ

(1)内気で非社交的な人

職場や仕事に限らず、元々、内向的な性格で他人とのコミュニケーションを取ることが苦手なタイプの人です。

このような人は一人で仕事をする分には苦痛を感じなくても、自分を表に出すことが苦手で他人と接する場面になるとどうコミュニケーションを取っていいのか分からず、困惑してしまう傾向にあります。

周りの人たちにその人に対する理解があれば、配慮した応対をしてくれて仕事に関するコミュニケーションも何とか支障なく維持することが出来ますが、そうでない場合には職場の中でも孤立してしまいます。

こういった状況になってしまうとその空間にいること自体にストレスを感じるようになってしまいます。

また、中には一人で仕事をしている方が気楽でいいと思っている人でも会社という集団にいる限り、必要最低限のコミュニケーションは取らなくてはなりません。

では、どうすれば職場で働くことを自分にとって快適にしていけるのか考えていきましょう。

①自分から挨拶など、簡単に出来るコミュニケーションを取るように心掛けてみる

無理に難しいところから始める必要はありません。

まずは出勤した際には「おはようございます。」、仕事が終わって帰宅する時には「お疲れ様でした。」など、誰にでも簡単に出来る挨拶をしてみるように心掛けてみましょう。

それが出来るようになるだけで、周りの人たちが持つあなたの印象はかなり変わって行きます。

まったく何も話さないようなタイプの人には周囲の人間も声を掛けづらいものです。

仕事で何か手伝ってもらった時には「助かりました。ありがとうございます。」と簡単にお礼を言うだけでも、相手に対して好印象を与えることが出来ます。

そういった習慣を心掛けて続けて行くと自然に周囲の人間からも声を掛けてもらえるようになります。

そこから、少しずつでもコミュニケーションの取り方を覚えて行けば良いのです。 

②コミュニケーションの取り方が上手な人のやり方を見て真似てみる

①に繋がるところもありますが、仕事仲間で、コミュニケーション術に長けているため、どんな人とも上手に付き合っている人が必ずいると思います。

そういう人のコミュニケーションの取り方を見て、簡単なところから真似てみるというのも、コミュニケーション能力を養う意味では効果があります。

③話の出来る相手を作る

職場の人間全員と仲良くなるのは実際問題として、なかなか難しいものです。

しかし、一人あるいは、二人でも構えず気楽に話の出来る相手が出来るだけでも職場での環境を快適にするように出来ます。

何でも話せる相手を作れという意味ではありません。そこまで親しくならなくても、何気ない会話が出来る相手がいるだけでも、職場で孤立しているという感情を軽減出来るでしょう。

傷つきやすい繊細なタイプ

(2) 元々の性格が繊細で、些細なことでも傷つきやすく、落ち込んでしまうタイプの人

繊細な性格であることは決して悪いことではありません。

繊細であるが故に他人の気持ちを察しようとすることに敏感で、相手の感情を理解し、思いやりを持って接してあげられるという長所を持っているからです。

その反面、小さな事でも批判されたり、責められたりするとすぐに傷ついてしまったり、落ち込んでしまったりする側面を持っています。

このタイプの人が仕事での対人関係を苦手とする背景には傷つけられたくないという自己防衛本能から、対人接触は出来るだけ避けるようにしたいと考えてしまうことが多いようです。

仕事の中のコミュニケーションにおいても、何か傷つけられることを言われるかも知れないといった不安から人間関係を持つことに苦手意識を感じてしまうことも多いようです。

では、そういった場合における対処について考えてみましょう。

①自分で意識しながら気持ちの切り替えが出来るようにする

繊細な感情を持っているというのは生まれながらに備わった気質なので、それを簡単に根本的に変えて行くということは現実的には簡単には行かないものです。

では、どうすればいいのかと言うと、気持ちの切り替えを上手に出来るようにすることです。

他人とのコミュニケーションにおいて、気持ちが折れるようなことを言われるとその時にはショックを受けるかも知れませんが、相手の言葉の意味を深掘りして、そのことをずっと考え続けることに執着することを出来るだけしないように習慣づけ、ネガティブな気持ちをいつまでも引きずらずに、前向きな気持ちに切り替えられるように努めてみましょう。

相手から言われた言葉には単にその場の雰囲気で何となく言ってみただけで、深い意味はないことが往々にあります。

そんな言葉について、深くクヨクヨと考えてみたところで意味はありませんよね?

仕事上で大きなミスをしてしまい、上司から叱責を受けた場合は別の問題になりますが、そうでなければ、言われた事を必要以上に気に止めないようにすることが出来るようになれば、人間関係でのコミュニケーションに対する苦手意識も克服出来るようになりますよ。

②相手の気持ちや感情を必要以上に過敏に受け止めず、気にし過ぎないようにしてみる

このタイプの人の特徴として、こんなことを言ったら、相手の気分を害してしまうのではないか、あるいは嫌われてしまうのではないか、と気にし過ぎて言いたいことがあっても言えずに自分の中に溜め込んでしまうという傾向が強く見られます。

その結果、他人とのコミュニケーションを極力避けるようになり、コミュニケーションを取ること自体、苦手意識を持つようになってしまいます。

しかし、自分の言いたいことも言えない人間になってしまうことは、周りの人たちから見るとむしろ、自己主張の出来ない人、何を考えているか分からない人、あるいは性格の暗い人としてネガティブなイメージを持たれ、敬遠されてしまうことがあります。

これでは自分にとって逆効果になってしまいますよね?

そこで自分の考え方の視点を変えてみましょう。

人はお互いにコミュニケーションがなければ、理解し合えません。

他人に嫌われるかも知れないという気持ちを持つ前に相手に自分のことを理解してもらうという気持ちで接してみるのです。

自分の方から少しずつでもコミュニケーションを取ってみることでコミュニケーションスキルも身に付いて来ますし、気を使わなくてもスムーズに相手との会話が出来るようになります。

他人の評価を気にしすぎてしまうタイプ

(3) 自分に自信がなく、自意識が高過ぎる人

いわゆる自分自身に自信が持てない人で他人の評価を過剰に気にして、その人の評価を自分自身の評価として捉えてしまっている人です。

常に他人が自分に向けている視線が気になり、自分がどのように思われているかに意識が向いているため、自然な人間関係の構築が上手く築けないのが大きな特徴です。

そのため、他人と人間関係を持つことに臆病になり、それが苦手と感じてしまいます。

しかし、それを理由に出来るだけ人から評価を受ける場面を少なくすることは、自分がやっている仕事の善し悪しの基準を決める基準が本人だけの独断になってしまうリスクを負います。

時には重要な仕事を任されている場合、自分の仕事のやり方に間違いがないか、他の人たちの意見を仰ぐ必要性を避けられない場面もあるのです。

では、このようなタイプの人は他人との関わりについて、どのように対処して行けば良いのか考えてみましょう。

①自分自身を認め、肯定してあげる。

この傾向を持つ人の多くは自己肯定感を持てないことで他人の意見や考えに簡単に左右されてしまいます。

分かりやすく言うと自分の考え方に軸がなく、ぶれやすいということです。

完璧ではないかも知れませんが、自分がやった仕事が100%間違っているということもないのです。

まずはその点を意識し、ここは自分なりに頑張ってみたというところには自信を持ち、自分を認めることを習慣づけましょう。

他人から受ける評価は否定的なものばかりではないはずです。

相手から認めてもらった部分は自分でも間違っていなかったと自信を持つように心掛け、自分自身にぶれないところを作って行きましょう。

自分を肯定することが出来るようになることで、人が自分の仕事に下す評価の受け取り方や感じ方も変わって行きますよ。

②他人の評価が常に正しいことと受け止めないようにする

あなたが何か仕事を任されて、上司などから評価を受けた時、それが絶対的に正しい評価だと決めつけないことも大切です。

人の評価基準も十人十色だと理解しましょう。

あなたが成し遂げた仕事に対して、ある人からはこう評価を受けたのに別の人からはまったく違うことを言われたということもよくあることです。

例えば、絵画や音楽でもその作品に対して、「素晴らしい。すごくいいなぁ。」と思う人がいれば、「よく分からないし、あまり好きじゃないな。」と思う人がいるのも当然のことで、どちらが正しい、間違っているということはないのです。

大切なのは、あなた自身がよく考えてみて、指摘やアドバイスを受けた時にそれをそのまま受け入れてしまうのではなく、確かに的を得ていると思うところは参考にして、明らかに違うというところは真に受けないという様に心に余裕を持つようにしてみましょう。

それが出来るようになれば、人からの評価にビクビクすることもなくなるでしょう。

2. 次に他の人たちとの人間関係は円滑に出来ているのに、特定の苦手な人がいる場合のケースについて、考えてみましょう。

特定の苦手な人がいる場合

(1) 職場という特殊な環境の中にいる時、そこで一緒に働いている人との接触は避けては通れないものです。

人には相性というものがありますから、すべての人と仲良く人間関係を築くことは難しいことです。

ですから、苦手なタイプの人がいても当たり前なことなのです。

自分が苦手とする人がいることで仕事に支障をきたしたり、職場での居心地が悪くなってしまっているのなら、それは解消して行きたいですね。

では、どんな対処法があるのか考えて行きたいと思います。

①適度な距離を取るようにしてみる

自分が苦手である人が同じ課で同じプロジェクトの仲間であったり、直属の上司である場合には密接なコミュニケーションを取ることは避けられませんが、そうでなければ、適度な距離をおいて、出来るだけ接触する機会を少なくするように努めてみるのも良いでしょう。

例えば、その人が積極的にあなたに接近して来るようなタイプであれば、無理をして相手に合わせようとせず、会話を長引かなせないように必要最低限の受け答えするのも一つの方法です。

相手の話に興味があるような素振りを見せたり、自ら同意するような発言をしてしまうと相手の方もあなたが自分の話を聞いてくれて、理解してくれる相手だと認識し、距離を置きたくてもそれをするのが出来なくなります。

淡々とした態度でその相手に接するようにすることを続けることで自然と距離を置けるようになって行きます。

また、行動面においても、必要がない限り、その人に対しては毅然とした態度を示すことです。

また、中には欲求不満のはけ口として、あなたに嫌みを言って来たりするケースの人もいるかも知れません。

そんな時でもあなたがそれでオロオロしてしまったりと弱い感情面を見せてしまわないようにすることや相手にしていないという態度を示すことが大切です。

では、次に仕事の都合上、どうしても関係を持たなければならない時はどうすれば良いのか考えてみましょう。

②相手に対する見方を変えてみる

例えば、自分が苦手とする相手が直属の上司だったり、同じ内容の仕事に携わっている同僚だったりする場合、日々のコミュニケーションは避けて通ることは出来ません。

そんな時は相手のどんなところが自分にとって苦手に感じてしまうのかを見つめ直してみましょう。

例えば、自分をおだてて、持ち上げてくれる部下は可愛がるけれども、そうでない部下には厳しい態度を取る上司がいたとします。

そして、あなたはその上司に対してお世辞が言えずにいつも厳しくされ、強い苦手意識を持っているとしましょう。

ここで冷静になって、上司のことについて考えてみて下さい。

この人が自己承認欲求、自己顕示欲の強い、ある意味では性格の片寄った人であることが理解出来ると思います。

あなたはその点がとても苦手なのかも知れません。

人のあら探しをするように言っている訳ではありませんが、そういう認識が出来れば、相手を今までと違う視点で見ることが出来るようになるでしょう。

その反対に思ってもいないお世辞を言えないのはあなたが嘘をつけない真っ直ぐな人だということも言えるのです。

元々、そういった大きな欠点を抱えている上司を相手にしているのだからと割り切ってしまえば、問題を完全に解消するところまでには至らないものの、今までの嫌な気持ちの軽減を図って行くことは出来るようになります。

また、これとは反対の方向性から、自分の苦手な人との関わり方について、解消して行く方法もあります。

それは相手の嫌なところではなく、良いところに目を向けてみることです。

相手を苦手と感じてしまうとその面ばかりが気になってしまい勝ちですが、必ず、良い面もあるのです。

自分はこの人のここは嫌いだけれど、ここは好きになれそうだというところを発見出来れば、相手を受け入れる手掛かりを見つけるきっかけになることもあります。

そこを認めて、自分もその人に対する接し方を工夫すれば、相手もあなたに対する接し方も変わって来ることもあるのです。

まずは自分が少しだけ変わることで人間関係は改善する

以上、仕事においての人間関係に対する苦手意識の改善法について触れて来ましたが、まずは自分の意識を変えて行くことが大切で、いつか、周りが変わってくれるだろうと受け身にならないことが重要なのです。

同じ仕事をするのでも、出来るだけ、快適な環境で気持ち良く仕事をして行きたいですよね?

そのためには自分にとって苦手と感じている人間関係が変わってくれることに期待するのではなく、自分の方から色々と工夫しながら、対人関係についての苦手意識を克服して行きましょう。

ボイスカウンセラー
永吉 宏彰(ながよし ひろあき)

まとめ

仕事での人間関係が苦手~傾向と対策~
コミュニケーションを取ることが苦手なタイプ
傷つきやすい繊細なタイプ
他人の評価を気にしすぎてしまうタイプ
特定の苦手な人がいる場合
まずは自分が少しだけ変わることで人間関係は改善する