先日、はじめて大学入学共通テストが実施されました。

一部問題を見ましたが、やはり知識と知識を活用する問題が出題されています。

知識を活用する問題が出題されるという傾向は中学受験においても同様なのですが、まだ小学生や中学生、高校生といった子供たちに知識を活用させるという行為自体、危険な行為のように感じます。

また、知識を活用するような問題を出題する場合、必ずアンフェアがうまれるようにも思います。

アンフェアにも見える大学入学共通テスト

大学入学共通テストでは、もちろん知識を問う問題も出題されますので、その部分をきちんと押さえていれば、ある程度の点数を取ることは可能なのかもしれません。

ですが、国立大学や医学部、難関校を目指す場合には高得点を取らなければなりませんので、知識を活用するような問題も解けなければなりません。

ですが、このような知識を活用する問題は、一般的な高校(3年間)では対応できない可能性があります。

なぜなら、高校3年間では知識を獲得するだけで精一杯ですので、知識を活用するような応用問題まで手が回りませんし、カリキュラム的にも難しいと想像できます。

中高一貫校へ進学した場合は、6年間ありますので知識の獲得と応用まで対応できますが、そうでない場合には塾で知識の活用を学ぶ必要があります。

すると、高校(3年間)プラス塾というカタチになりますので、塾へ行かずに国立大学や難関校、または医学部へ進学することが極めて難しくなります。

経済的ゆとりのあるご家庭はなんとかなるのかもしれませんが、経済的ゆとりのないお家の子供たちは、夢をあきらめないといけないのかもしれません。

例え、経済的ゆとりがあったとしても、学校で知識を獲得し、塾で知識の獲得から活用までやるのでしたら、もはやなんのために高校へ通っているのかもわかりませんし、そもそも子供たちにかかる精神的、体力的、負担が多き過ぎます。

今の大学入学共通テストは、公立高校へ通う生徒たち、そして経済的ゆとりのないご家庭、また疾病などで体力のない子供達には不利なテストになっているように感じます。

知識を活用するということ(守破離の法則)

これまで、日本では、小学校から高校にかけ知識を獲得し、大学ではじめて知識の活用を学ぶことが一般的でした。

まだまだ未発達の子供の脳では、物事を正しく判断できませんので、しっかりとした脳ができあがる大学生になってから知識の活用を学ぶという方法は理想的なカタチだったように思います。

逆に言えば、小学生や中学生、高校生といった未熟な子供に知識の活用を行わせようとすれば、獲得した知識を正しく活用できる子もいれば、正しくない方向に活用してしまう子もでてきます。

小学生や中学生はもちろん、高校生といえどもまだまだ考え方も判断力も未熟です。

その部分を早い段階で成熟させようとすれば、かならずひずみが生じます。

知識をしっかりと獲得する段階の子供たちに知識を活用させるということは、ある意味では「守破離」の法則を破るということでもあり、子供たちの行く末が心配になることもであるのではないでしょうか。

「考える力」というより「情報処理能力の高さ」

現在は、中学受験でも大学入学共通テストでも知識を活用する問題が出題されますが、それが本当に自分の頭で考えた回答かと問われれば、おそらく違うでしょう。

知識の活用系の問題では資料やグラフを読み解く力が必要になります。

これは、「考える力」というよりも「情報処理能力の高さ」です。

情報処理能力や言語能力というものは、発達の速度が異なりますので、その分野の成長がのんびりなお子さんには不利になテストになることが予測できます。

商法処理能力は本来であれば、大学や大学院で必要とされる能力であり、小学生や中学生、高校生に求める能力ではありません。

大人になり、企業に勤める上では情報処理能力の高さというものは必要な事柄なのかもしれませんが、まだ発達段階にある子供たちにそれを求めるのはいかがなものでしょうか。

まして、それが中学受験問題や大学入学共通テストなどの人生を左右するようなテストに持ち込むというのは、「情報処理能力が高い」お子さんだけが突破できる関門のようにも思え、発達のゆっくりなお子さんや、限られた資金のなかでコツコツと頑張っているお子さんにとってはアンフェアな戦いにみえてなりません。

ボイスカウンセラー
齋藤 唯衣(さいとう ゆい)

まとめ

アンフェアにも見える大学入学共通テスト
アンフェアにも見える大学入学共通テスト
知識を活用するということ(守破離の法則)
「考える力」というより「情報処理能力」