カロリー制限 するということは、とても難しいことです。なぜなら、人は生きる術としてハイカロリーな食事を選択するように設計されているからです。

子供が甘いものを好む理由も糖質がすぐにエネルギーに変換されるからです。食事で一日のエネルギーを摂れない子供にはおやつが必要ということです。

そこで、私たちがなぜ思ったとおりにカロリー制限が出来ないのか理解して欲しいと思います。

肥満に立ち向かうのは難しい?

肥満に立ち向かうのはとても難しいことです。結果、いろいろなダイエット方法が、巷に溢れています。

ですが、まずは肥満環境をどのように変えるのかを考えることが先決です。

まずは、進化医学から見ると「肥満」は次のような解釈になります。

第一に、古代の環境には食料の保存や流通のシステムがないため、カロリーはもっとも貴重な資源でした。

その中で進化した人類は、自然と高カロリーな食事を好むように脳を作り変えていきました。

肥満研究の第一人者であるブルース・キング教授は、2013年のレビュー論文にこう記しています。

「人間の消化器系・感覚(味覚と嗅覚)・脳の食欲中枢は、およそ200万年前に発達した。これらの機能は、古代の狩猟採集民たちが暮らした環境に適応している。ほとんどカロリーが低い食品しかなく、食事にありつけないことが多かった時代だ。そのため、わたしたちの脳の報酬系は、できるだけカロリーの高いものを探すように進化した。ところが、現代の先進国に住む人間は、食料の豊富な肥満環境に生きている」

ここからもわかるように、まずは肥満にならない決意が必要なのです。
厳しいようですが、欲望のままでは肥満になってしまうということです。

そのためには、環境を整え、嗜好や思考を変えていきましょう。

「超正常刺激」が本能を刺激する  

「超正常刺激」が本能を刺激するとは、動物行動学の父であるコンラート・ローレンツ氏が発見した現象で、自然界には存在しないものに対して本能が反射的に作動してしまう状態を意味します。

たとえば、ミヤコドリという鳥は、本能的に大きな卵を産んで育てようとする性質を持ちます。

そのため研究者が本物の卵より大きな人工のボールを与えてみると、ミヤコドリは自ら産んだ卵を捨ててボールを温めようとします。

これは、ミヤコドリのなかに「大きな卵を育てたほうが元気な個体が生まれる」とみなすプログラムしか備わっていないからです。自然界には巨大なボールなど存在しないため、「これはニセモノかもしれない」と疑うシステムを実装する必要がありません。

その結果ミヤコドリは簡単に騙されてしまうのです。

現代においては人間も超正常刺激に振り回されています。

人がジャンクフードを好む理由 

ジャンクフードもそのひとつです。身体に悪いと認識されていても、ジャンクフードは存在します。

それは理屈でなく、脳が知ってしまったからなのです。
糖と脂肪が絶妙に配合されたハンバーガーやスナック菓子は、私たちの舌に超正常刺激を与えます。

糖と脂肪はどちらも古代人が生き延びるために欠かせないエネルギー源だったため、人類の脳はビタミンやミネラルより カロリーに反応するように進化してきたからです。

その仕組みはとても単純です。食料がない時代 エネルギーの確保が一番だったからです。
味覚も刺激を求めてどんどん加速しているということです。

大事なのは、現代にあふれる超正常刺激の存在に気づき、自分の反応を調節することです。

進化の過程において自然界に存在しない加工食品や栄養食品などは、人の味覚のバランスを崩し、本来持っている身体からの声を聴くことが出来なくなっています。

このように、人工的に作られたハイカロリーな食事が美味しいのだから、それを抗うことは不可能です。

ですが、健康という点においては高脂血症や高血圧症、動脈硬化症、心疾患、脳疾患、腎機能障害、糖尿病など生活習慣病のハイリスクとなる事でしょう。

そのことを、まず知る事から始めましょう。

こころのバランスをくずし、刺激を追い求めてしまうと 身体に大きな負債を追ってしまいます。

ボイスカウンセラー
片桐 かおり(かたぎり かおり)

まとめ

カロリー制限は難しい ~人はハイカロリーな食事を好むように設計されている~
肥満に立ち向かうのは難しい?
「超正常刺激」が本能を刺激する
人がジャンクフードを好む理由