IQ130を超えるともいわれているギフティッドですが、決して彼らにとって中学受験が楽なものとは言えない状況にあります。むしろ、ギフティッドにはギフティッドの辛さがあります。

ギフティッドの現状

日本ではまだまだギフティッド教育は大きく展開されてはいません。

一部の大学や一部の区でギフティッド教育をおこなっている場合もあるようですが、それは決して一般的ではなく、まだまだギフティッドの存在自体あまり知られていないようにも感じられます。

ですが、おそらく日本には多くのギフティッドが存在しているのではないでしょうか。

特に幼児教室や進学塾、難関校と呼ばれるところにギフティッドが集まりやすい傾向があるように思います。

公立校でのギフティッド

保育園や幼稚園の頃から、活発で利発なギフティッドの子供達ですが、まさかギフティッドだとは考えないご両親が大半です。

それゆえ、小学校は公立校に入学させてしまうこともよくあります。

低学年の間は、友達と遊ぶことが楽しくて通学してくれるかもしれませんが、3年生頃からあまり学校に行きたがらなくなることもあります。

それは、知能も身体能力も他のお子さん達とはかけ離れているためです。

たとえば、数分でわかることを45分かけ学び、大半の時間を他の子が終わるのを待つだけの時間。

運動にしても、身体能力の差から少し手加減しないと相手に怪我をさせてしまう可能性から本気をだすことができない。

友達と話すにしても、知能指数が違えば考え方も違うので話が合わない、ということが起きます。

さらに、担任の先生に理解がない場合には「学校に行きたくない」現象が起きてしまいます。

こうなってしまうと、保護者としては中学受験を考えざるを得ない状況に陥ることになります。

ですが、そこにはひとつ大きな落とし穴があります。

それは、ギフティッドに受験勉強が向かない、という点です。

受験で必要な力は「効率的」

なぜ、ギフティッドが受験に向かないかといえば、ギフティッドは研究者タイプなのに対し、受験に必要な力はいかに短い時間に効率よく暗記していくか、ということだからです。

現在の中学受験の範囲は、高校受験の7割を網羅すると言われています。このことからわかるように、暗記しなければならい事柄が膨大にあります。

ですが、ギフティッドの子供達は原理原則に忠実な子供達が多いので、多くの疑問がうまれます。

中学年の間でしたら、資料集や図鑑、いろいろなものを使って奥深く楽しく学ぶことができますが、進学塾の5年生になると覚えなければならないことが膨大になるので、これまでのように丁寧に調べながら勉強をしていると、終わりきらなくなる可能性がでてくるのです。

ギフティッドは反復練習が苦手

ギフティッドは探求心が強いので、進学塾のように算理社国とすべてつながりを持って勉強することは、好奇心がくすぐられ、とても楽しい体験です。

ですが、塾ではテスト対策として必ず基礎の反復練習をしなければなりません。

ギフティッドの子供達は新しいことを学ぶことは大好きですが、もうすでに知っていることを何度も何度も反復することに楽しみを見いだせない子共達もいます。

この反復練習がギフティッドの子供達には苦痛になってしまいます。

その他のギフティッドの悩み

理科・社会

  • 探求心が強すぎて終わらない(進まない)
  • 反復練習が好きではない(飽きる)

国語

  • 本文の続きが気になり、問題に興味がわかない
  • 読字障害があると、同音異義語で悪戦苦闘する
  • スリムに文章をまとめすぎてしまい、減点される

算数

  • 式がない(頭のなかの計算が早すぎて、手が追い付かない(書けない))
  • 暗算は早くて正確なのに、ひっ算だと字が汚いせいで数字を見間違える
  • とにかく難解な式を立てる
  • 独自のやり方で問題を解く
  • 反復練習が嫌い

ギフティッドの受験の難しさ

上記にも示した通り、ギフティッドは幅広い探求心を持っていますので、ひたすら反復練習を繰り返すことに興味を見出せません。

幅広い探求心で深く学ぶ特殊性を持つギフティッドは確かに研究分野に向いています。

ですが、受験は疑問を持たず、与えられたものを短時間で暗記する能力が求められますので、ギフティッドにあまり向かないのです。

では、どうしたらよいのでしょうか。

  • 教わるふりをして、反復練習をさせる
  • 競争で問題を解く
  • クイズ形式にし、解答だけでも言わせる
  • 問題集を何冊か用意する

基本的には問題集は1冊をじっくり取り組む方がよいのですが、ギフティッドの場合は回答も覚えてしまいますので、いろいろな側面から問題が作られている問題集を何冊か用意すれば、1度ずつはやってくれます。

IQの高さとは関係ないのが中学受験です。

反復練習が嫌い、探求心が強すぎて進度が進まないという絶対的に不利な立場の中学受験ですが、家族の協力と持ち前の集中力と記憶力に火が付けば、なんとかなることも多いのもギフティッドです。

ボイスカウンセラー
齋藤 唯衣(さいとう ゆい)

まとめ

ギフティッドの特殊性は中学受験に向くのか?
ギフティッドの現状
公立校でのギフティッド
受験で必要な力は「効率的」
その他のギフティッドの悩み
ギフティッドの受験の難しさ