
日本では、ギフテッドであっても、アスペルガー症候群やADHD、またはアスペルガー症候群とADHDの混合型と診断を受けることがあります。
おそらく、それはDSMでは広汎性発達障害とされており、広汎性発達障害のなかでも自閉性障害、アスペルガー障害、注意欠陥多動性障害と区分がわかれているためと考えることが妥当です。
すでにお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、DSMのなかではギフテッドという項目がありません。
ですが、発達障害(広汎性発達障害)とギフテッドでは、現れる特性(特徴)はまったく異なります。
診断名が違うと何が困るの?
基本的に、ギフテッドであっても、アスペルガーやADHDと診断されても、ご両親がギフテッドとわかっていれば、さほど問題はありません。
ですが、ご両親がアスペルガーやADHDだと思っていると、上手く子どもを扱えなくなります。それは、周囲の大人や学校の先生も同様です。
特性(特徴)が違えば、現れる症状が違いますので、自閉症やアスペルガー、ADHDの対応方法では対処できないことは当然です。
アスペルガー症候群とギフテッドの違い
アスペルガー症候群の子供の特徴を大まかなに説明すると、
- 過集中
- ひとつのことに没頭しやすい(興味の範囲が限定的)
- 体の使い方があまり上手くなく、運動が苦手
- 不器用
- 言葉通りに意味を受け取る
- 体力がない
これらの特徴がうかがえます。
では、ギフテッドの子供はどうでしょうか。
- 集中力が高い
- 興味の範囲が広い
- 運動も得意
- 器用
- 語彙力が高い
- 体力がある
アスペルガーもギフテッドも集中力が高く、継続力がありますので混同されがちですが、アスペルガーがひとつの事柄に対し探求心が強いのに対し、ギフテッドは幅広い分野に対し探求心を強く持つ子供が多い傾向にあります。
また、コミュニケーション能力や運動能力、体力面でもギフテッドは高い能力を示しますので、アスペルガー症候群だと思い接してしまうと違和感を感じてしまいます。
ADHDとギフテッドの違い
ギフテッドとADHDは一見似たような症状にみえますが、じっくり観察をしていると根本が違います。
ADHDの症状には、
- 過集中・注意散漫
- 興味の移り変わりが激しい
- 落ち着きがない
- 探求心が強い
などが、あげられます。
ADHDとギフテッドは、ともに集中力が高く、幅広い興味を持っているという点に類似点があるように思いますが、ADHDの場合の幅広い興味とは「興味の移り変わりの激しさ」をあらわし、ギフテッドの場合は幅広い興味のすべてに「つながり」を求めるという点に違いがみられます。
わかりやすく説明すると、ABCDEというものがあるとすると、
ADHDの場合は、ABCDEにそれぞれ興味があります。
ギフテッドの場合は、ABCDEのつながりに興味を持ちます。
いわゆる、ギフテッドは原理原則に忠実で、原理原則に従って論理立ててモノを考えるということを好むのです。
アスペルガー、ADHD、ギフテッド
アスペルガー症候群、ADHD、ギフテッド、3つタイプに共通する特徴(特性)として、集中力が高い、探求心が強い、記憶力が良い、という点があげられます。
記憶力というのは長期記憶のことであり、短期記憶力が弱いという特徴も持ち合わせていますので、興味のないことは記憶すらしていないということもあります。
話しを戻しますが、集中力、探求心、記憶力、これら3つを混同しがちですが、根本となっている原因はまったく違いますので、扱い方を変えなければなりませんし、与えるものも変えなければなりません。
ですが、なかにはギフテッドと発達障害を持ち合わせた2Eと言われるタイプや、ギフテッドと学習障害を持ち合わせたタイプの子供も存在します。
ですので、お子さんの特性を見極め、どうサポートするのか考えることが大切です。
ボイスカウンセラー
齋藤 唯衣(さいとう ゆい)
まとめ
ギフテッドの特徴~アスペルガー・ADHDとの違い~
診断名が違うと何が困るの?
アスペルガー症候群とギフテッドの違い
ADHDとギフテッドの違い
アスペルガー、ADHD、ギフテッド