~「できる子」だからこそ育ちにくい力があります~

ギフテッドのお子さんのなかには、
・忍耐力が弱い
・思い通りにならないと強く不機嫌になる
・キレやすい
・フリーズしやすい
といった特徴がみられることがあります。

そして、その「キレやすさ」や「我慢の弱さ」が、家庭内での激しい言動や家庭内暴力へと発展してしまうことがあります。

もちろん、すべてのギフテッドのお子さんに当てはまるわけではありません。しかし、幼少期から能力が高かったお子さんほど、思春期以降に大きくつまずくケースは少なくありません。

今回は、ギフテッドのお子さんの「忍耐力」と「キレやすさ」の背景についてお話しします。

なぜギフテッドのお子さんは忍耐力が育ちにくいのか

幼少期は「努力しなくてもできてしまう」
ギフテッドのお子さんは、幼少期から
・好奇心旺盛
・理解力が高い
・要領が良い
・飲み込みが早い
といった特徴を持っていることがあります。

そのため、
・勉強
・会話
・読書
・習い事
など、多くのことを比較的スムーズにこなします。

周囲の大人から褒められる経験も多く、
・「すごいね」
・「頭がいいね」
・「なんでもできるね」
と言われながら育つことも少なくありません。

小学校高学年頃から壁にぶつかり始める

しかし、小学校高学年頃から中学生になると、状況が変わってきます。
それまでは“才能だけ”で乗り越えられていたことが、
・継続
・反復
・地道な努力
・我慢
・忍耐
を必要とする段階へ入っていきます。
ここで苦しくなり始めるギフテッドのお子さんは少なくありません。

「努力する経験」が不足していることがある

一般的なお子さんは、小さい頃から、
・うまくできない
・失敗する
・練習する
・少しずつできるようになる
という経験を積み重ねています。

一方で、ギフテッドのお子さんは、幼少期には努力をしなくてもできてしまうことが多く、「少しずつ頑張る」という経験が不足しやすい傾向があります。

そのため、
・思い通りにいかない
・すぐにはできない
・努力しても成果が出ない
という状況に直面したとき、大きなストレスを感じやすくなります。

「できない自分」に強く苛立つ

今までスムーズにできていたことができなくなると、
・イライラする
・不機嫌になる
・フリーズする
・現実逃避する
といった反応が出ることがあります。

また、
・「やろう」と促される
・注意される
・努力を求められる
ことで、自尊心が傷つき、激しく怒ったり暴れたりするケースもあります。

これは単なる反抗というより、
「できない自分を受け入れられない苦しさ」
が背景にあることも少なくありません。

親御さんが疲弊してしまう

親御さんとしては、
・長時間フリーズされる
・不機嫌が続く
・生活が回らなくなる
・家庭内が緊張状態になる
ため、何とか穏やかに過ごせる方法を探し始めます。

もちろん最初は、
・勉強を続けさせよう
・運動も頑張らせよう
・生活リズムを整えよう
と努力されます。

しかし、ギフテッドのお子さんの強いこだわりや頑なさに、次第に親御さんが疲弊してしまうことがあります。

「やりたくないことはやらなくていい」という空気

その結果、
・刺激しないようにする
・怒らせないようにする
・嫌がることを避ける
という対応が増えていきます。

するとお子さんは、

・「嫌なことはやらなくていい」

・「強く拒否すれば回避できる」

と学習してしまうことがあります。

さらに、

「暴れればやらなくて済む」

という誤学習へつながる場合もあります。

「得意を伸ばす」だけでは不十分なこともある

発達特性のあるお子さんの子育てでは、

「得意を伸ばしましょう」

と言われることが多くあります。

もちろん、これはとても大切な視点です。
しかし、それが

・「得意なことだけやればいい」

・「苦手なことは一切やらなくていい」

になってしまうと、

・我慢する力
・少しだけ頑張る力
・踏ん張る力
・コツコツ続ける力
を育てる機会を失ってしまうことがあります。

キレやすいギフテッドのお子さんへの対応

1. 「才能がある=精神的に成熟している」ではない

知的能力が高くても、
・感情コントロール
・忍耐力
・失敗耐性
は年齢相応、あるいは未熟なことがあります。

「できる子なのに、なぜ頑張れないのか」と考えるよりも、まずは“未熟な部分がある”と理解することが大切です。

2. 小さな我慢を積み重ねる

いきなり大きな努力を求めると、失敗しやすくなります。

まずは、
・5分だけ取り組む
・少しだけ我慢する
・小さく成功体験を積む
ことから始めることが大切です。

3. 暴れてもルールは変わらないことを伝える

感情に寄り添うことは大切ですが、
・暴れれば回避できる
・怒れば要求が通る
という学習を防ぐことも重要です。

落ち着いて、一貫した対応を続けていく必要があります。

4. 「結果」より「過程」を褒める

ギフテッドのお子さんは、「できたかどうか」で評価され続けてきた子も少なくありません。

そのため、
・頑張った
・工夫した
・最後まで取り組んだ
という“過程”を評価することが、忍耐力を育てるうえで非常に重要になります。

最後に

    ギフテッドのお子さんのキレやすさや忍耐力の弱さは、「性格の問題」と片付けられるものではありません。

    幼少期から“できてしまった”がゆえに、
    ・努力する経験
    ・失敗する経験
    ・我慢する経験
    を積みにくかった背景がある場合があります。

    だからこそ、
    ・少しずつ耐える経験を積むこと
    ・小さな努力を肯定すること
    ・暴れれば回避できる状況を作らないこと
    が、とても大切になります。

    もし現在、ご家庭で激しい不機嫌や家庭内暴力に悩まれている場合は、一人で抱え込まず、専門家へご相談ください。

    特に、すでに家庭内で
    ・物を投げる
    ・叩く
    ・壁を壊す
    ・暴言が続く
    ・ご家族が萎縮している
    などの家庭内暴力が起きている場合、保護者の方だけで対応を続けることは非常に危険です。

    家庭内暴力は、「そのうち落ち着くだろう」と様子を見ているうちに、少しずつエスカレートしていくことも少なくありません。

    また、親御さんが疲弊し切ってしまうことで、
    ・一貫した対応が難しくなる
    ・ご家庭全体が不安定になる
    ・兄弟姉妹にも影響が出る
    ケースもあります。

    特に、ギフテッドのお子さんや発達特性のあるお子さんの場合、知的理解力の高さゆえに、ご家庭だけでは対応が難しくなることもあります。

    そのため、すでに家庭内暴力が起きている場合は、保護者だけで抱え込まず、できるだけ早い段階で専門家へご相談ください。

    早期に適切な介入を行うことで、ご家庭の状況が改善していくケースは少なくありません。

    ご相談後の変化

    最初は、
    ・毎日のように怒鳴り声が飛び交っていた
    ・不機嫌にならないよう家族全員が気を遣っていた
    ・暴れることが怖くて要求を断れなかった
    ・「どう接していいかわからない」と親御さんが疲弊していた
    という状態だったご家庭でも、

    ・お子さんへの対応方法が整理される
    ・親御さんの不安や迷いが減る
    ・ご家庭の中に一貫性が生まれる
    ・「暴れれば要求が通る」という状態が少しずつ改善する
    ・お子さん自身が落ち着きを取り戻していく
    など、少しずつ変化していくケースがあります。

    このような変化がみられることがあります

    ・家庭内の怒鳴り合いが減った
    ・長時間の癇癪が短くなった
    ・不機嫌への過度な配慮が減った
    ・親御さんが振り回されにくくなった
    ・学校や勉強への向き合い方が変わってきた
    ・お子さんが「頑張ってみよう」と思える場面が増えた
    ・ご家庭の会話が戻ってきた
    もちろん、すぐに大きく変わるわけではありません。

    しかし、対応方法を整理し、ご家庭全体の関わり方を整えていくことで、少しずつ状況が改善していくケースは少なくありません。

    一人で抱え込まないでください

    家庭内暴力や激しい癇癪は、保護者の方だけで抱え込むには非常に大きな問題です。

    特に、
    ・暴力が始まっている
    ・ご家族が萎縮している
    ・親御さんが限界を感じている
    場合は、早めの対応がとても重要になります。

    「もっと早く相談すればよかった」とおっしゃる親御さんは少なくありません。
    今、とても苦しい状況にある方こそ、一人で抱え込まずご相談ください。